建設業取引適正化推進期間という言葉、聞いたことありますか?毎年10月と11月の2か月間、国土交通省が建設業界全体で取引の適正化を呼びかける期間なんです。
令和7年度も10月1日から実施されることが決まっています。
「うちは下請けに出してないから関係ない」と思うかもしれませんが、実はこの期間、元請・下請を問わず、すべての建設業者が対象になります。
しかも、この期間中は行政の立入検査が増える傾向にあるので、普段から適正な取引を心がけておくことが大切なんですよね。
建設業取引適正化推進期間とは何か
建設業取引適正化推進期間は、建設業法で定められた取引ルールを業界全体で再確認し、違反行為を防ぐための啓発活動です。
国土交通省が毎年秋に実施していて、関東地方整備局を含む全国の地方整備局が一斉に動きます。
この期間の目的は大きく3つあります。
まず、建設業法に違反する取引がないかチェックすること。
次に、違反が見つかった場合は是正指導を行うこと。
そして、建設業者に対して法令遵守の意識を高めてもらうことです。
特に近年は、働き方改革の影響で労務費の適正な支払いや、書面契約の徹底が重点項目になっています。
現場でよく見るのが「口約束で工事を始めてしまった」というケースです。
工期が迫っていて、とりあえず着工して契約書は後回し、なんてことありませんか?でもこれ、建設業法違反なんですよね。
工事を始める前に必ず書面で契約を交わさないといけません。
具体的に何がチェックされるのか
建設業取引適正化推進期間中、行政が特に注目するポイントは以下の通りです。
まず書面による契約の締結。
建設業法第19条では、工事を請け負う際は必ず書面で契約することが義務付けられています。
注文書と請書だけでもいいんですが、工事内容・金額・工期・支払条件などが明記されている必要があります。
次に見積条件の提示。
下請に見積もりを依頼するときは、工事内容・工期・支払条件などを明確に示さないといけません。
「とりあえず見積もって」では法律違反になります。
現場では「いつもの条件で」と口頭で済ませがちですが、毎回ちゃんと書面で条件を示す必要があるんですよね。
それから不当に低い請負代金の禁止。
いわゆる「買い叩き」ですね。
適正な原価を下回る金額で発注すると、建設業法第19条の3違反になります。
特に材料費が高騰している時期は要注意です。
「前回と同じ単価で」が通用しないケースもありますから。
支払条件も重要なチェックポイントです。
下請代金の支払いは、元請が発注者から代金を受け取った日から1か月以内、かつ工事完成から50日以内に行わなければなりません。
手形払いの場合は、手形期間が90日を超えないようにする必要があります。
よくあるのが「発注者からの入金待ち」で支払いが遅れるケースですが、これも法律違反になります。
違反するとどうなるのか
建設業取引適正化推進期間中に違反が見つかった場合、まずは行政指導が入ります。
軽微な違反であれば口頭注意で済むこともありますが、悪質な場合や繰り返し違反している場合は、監督処分の対象になります。
監督処分には段階があって、軽い方から「指示処分」「営業停止処分」「許可取消処分」の3種類です。
指示処分は違反内容の是正を命じるもので、経営事項審査のマイナス要因にはなりますが、営業は続けられます。
営業停止になると、期間中は新規の契約ができなくなるので、会社の経営に大きな打撃です。
許可取消までいくと、5年間は建設業許可が取れなくなります。
実質的に建設業から撤退するしかない状況ですよね。
しかも、処分を受けた会社の名前は国土交通省のウェブサイトで公表されます。
取引先からの信用も失いますし、公共工事の入札参加資格も失います。
実際の処分事例を見ると、令和5年度は全国で約200件の監督処分がありました。
そのうち約6割が、下請代金の支払遅延や不当に低い請負代金での発注といった取引関係の違反です。
「バレなければいい」という考えは危険ですよ。
自社でできる対策とは
建設業取引適正化推進期間に備えて、今からできることはいくつかあります。
まず契約書のチェックです。
過去1年分の契約書を見直して、必要事項が漏れなく記載されているか確認してみてください。
特に変更契約の書面化は忘れがちなポイントです。
工事が始まってから「やっぱりこれも追加で」となったとき、口約束で進めていませんか?追加工事も必ず書面で契約する必要があります。
金額が小さいからといって省略すると、後々トラブルの元になります。
現場では「メールで了解しました」で済ませることもありますが、できれば注文書・請書の形にしておいた方が安全です。
次に支払台帳の整備。
下請への支払いが期限内に行われているか、記録を残しておくことが大切です。
エクセルでもいいので、契約日・完成日・請求日・支払予定日・実際の支払日を記録しておきましょう。
万が一、行政の調査が入ったときに、すぐに提示できるようにしておくと安心です。