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担い手3法とは?建設業者が知っておくべき法改正の影響

担い手3法とは?建設業者が知っておくべき法改正の影響

「担い手3法」って聞いたことありますか?正式には「第三次・担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)」と呼ばれるものです。
建設業界の働き方や契約のルールを大きく変える法改正として、令和元年に成立しました。

この改正、実は建設業者にとって無視できない内容が盛り込まれています。
特に、下請契約の適正化や技術者配置のルールに関わる部分は、日々の現場運営に直結する話です。
今回は、この担い手3法の概要と、御社の事業にどう影響するかを整理していきます。

担い手3法って、具体的に何が変わったの?

担い手3法は、次の3つの法律を一体的に改正したものです。
国土交通省の建設産業ページでも詳細が公開されています。

  • 建設業法
  • 公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)
  • 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)

この3つをまとめて改正することで、建設業の担い手確保と働き方改革を進めようというのが狙いでした。
実際、現場では人手不足が深刻ですよね。
若い世代が入ってこない、ベテランが引退していく。
そんな状況を少しでも改善するための法整備だったわけです。

改正の柱は大きく4つあります。
建設業法では、著しく短い工期の禁止や下請代金の早期支払い、技術者配置要件の合理化が盛り込まれました。
品確法では、災害時の緊急対応や中長期的な担い手確保の視点が強化されています。
入契法では、適正な利益確保や社会保険加入の確認などが明記されました。

建設業法の改正で押さえるべきポイント

建設業法の改正内容は、現場を持つ事業者にとって最も身近な話です。
まず注目したいのが「著しく短い工期の禁止」。
これまで、無理な工期で契約させられるケースがありましたよね。
それが法律で明確に禁止されました。

具体的には、通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期で請負契約を締結してはならないとされています。
違反した場合、建設業許可の取消しや営業停止といった行政処分の対象になり得ます。
つまり、元請側も下請側も、適正な工期設定を意識しなければならなくなったわけです。

次に重要なのが「下請代金の早期支払い」。
従来は元請が発注者から支払いを受けた日から1ヶ月以内に下請に支払えばよかったのですが、改正後は「できる限り短い期間」での支払いが求められるようになりました。
現金払いが原則で、やむを得ず手形を使う場合も割引困難な手形は交付できません。

技術者配置要件の合理化も見逃せません。
例えば、一定の条件を満たせば主任技術者や監理技術者を複数の工事で兼任できるようになりました。
中小規模の工事が複数同時進行している場合など、人材配置の柔軟性が高まったんです。
ただし、兼任できる条件は細かく決まっているので、安易に判断せず、行政書士や許可行政庁に確認するのが安全です。

品確法・入契法の改正はどう影響する?

品確法の改正では、災害時の緊急対応が強化されました。
これにより、地域の建設業者が災害対応の担い手として期待される流れが強まっています。
協定を結んでいる自治体との関係も、今後さらに重要になるでしょう。

また、中長期的な担い手確保のため、発注者は「工事の性格」「地域の実情」「時期の平準化」などを考慮する責務が明記されました。
これは、年度末に工事が集中するのを避けたり、地元業者への配慮を促したりする狙いがあります。
公共工事の入札に参加している事業者にとっては、今後の発注動向が変わる可能性があるということです。

入契法の改正では、適正な利益確保の観点が追加されました。
ダンピング受注を防ぎ、建設業者が適正な利益を確保できる環境を整えようという方向性です。
社会保険加入の確認も厳格化され、下請も含めて保険加入が徹底されるようになりました。

現場でよくある質問(Q&A)

Q1. 著しく短い工期って、具体的にどう判断すればいい?

A. 法律では明確な日数基準は示されていません。
工事の内容、規模、施工条件、天候、休日などを総合的に考慮して判断します。
国土交通省が示す「工期設定支援システム」などを参考にするのも一つの方法です。
迷ったら、許可行政庁や専門家に相談するのが確実でしょう。

Q2. 技術者の兼任ができるようになったと聞きましたが、どんな条件がありますか?

A. 主任技術者や監理技術者の兼任には、「工事現場の距離が近い」「工事の規模が小さい」「工事内容が同種」などの条件があります。
また、専任が必要な工事(請負金額が一定以上の工事)は兼任できません。
現場ごとに判断が必要なので、安易に兼任させるのはリスクがあります。

Q3. 下請代金の支払いが遅れると、どうなる?

A. 建設業法違反として、指導や勧告の対象になります。
悪質な場合は営業停止や許可取消しもあり得ます。
資金繰りが厳しくても、下請への支払いは最優先事項として扱う必要があるわけです。

Q4. 社会保険未加入の下請がいた場合、元請も責任を問われる?

A. 元請には、下請の社会保険加入状況を確認し、未加入の場合は加入を指導する義務があります。
適切な指導を行わなければ、元請も行政処分の対象になる可能性があります。
契約前に下請の保険加入状況を確認するのが鉄則です。

Q5. この法改正、うちみたいな小規模業者にも関係ある?

A. 大いにあります。
工期設定や下請代金の支払い、技術者配置など、現場を持つすべての業者に影響します。
むしろ、小規模事業者ほど工期や支払条件で不利な立場に置かれやすいため、この法改正は味方になるはずです。

まとめ:担い手3法は業界全体の底上げを目指す改正

担い手3法の改正は、建設業界の構造的な問題に正面から取り組んだものです。
無理な工期、支払いの遅延、過度な技術者配置要件といった課題が、法律レベルで是正されるようになりました。

もちろん、法律ができたからといって現場がすぐに変わるわけではありません。
それでも、適正な契約や労働環境を求める際の根拠として、この法改正は大きな意味を持ちます。
特に、下請の立場で不利な条件を押し付けられそうになったとき、「これは建設業法違反では?」と指摘できるようになったのは大きな前進でしょう。

自社の契約書、工期設定、支払いサイクル、技術者配置など、一度見直してみるのはいかがでしょうか。
法令遵守はもちろん、若い世代が働きやすい環境を整えることは、長期的に見れば事業の持続可能性を高めることにつながります。

この記事は情報提供を目的としており、手続きの代行や法的助言を行うものではありません。
最新の情報は各行政機関の公式サイトでご確認ください。

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